散歩とコーヒー

趣味は何かと聞かれたら、散歩とコーヒーと答える。

 

雨でも雪でも真夏日でも外に散歩に出る。いきつけの店でコーヒー豆を買ったり、これまたいきつけのパン屋でパンを買ったりして帰る。時々、図書館も行ったりするが重くなるので借りるのは少しだ。

 

 

新鮮なコーヒー豆をドリップすると、ふっくらと豆がふくらみ、泡立つ。お気に入りのポットで少しずつ淹れる。香りが部屋中を満たしだした頃、妻が二階から降りてきて、ありがとうと言う。

 

内心では、お前の為ではないのだが、と思いつつ、妻のお気に入りのゴッホ展で買ったカップで淹れてやる。妻は砂糖が多めを希望するが、体に悪いのでミルク多めの砂糖なしで出す。ミルクも勿論、小鍋で温めてやる。

 

 

年を取ったものだ、と書いてて思う。趣味がコーヒーと散歩などと。でも、悪くない。むしろ、良い。

 

そう言えば、妻も趣味が変わった頃があった。買い物やスキーから、丁寧に掃除したり料理する事を楽しんでいるように見えた。妻には内緒だが、そんな妻を見るのは何だか嬉しかった。

 

 

日々の何気ない日常の中に、美しさや愛おしさを見出す。もう少し若い頃に、この素晴らしさに気づきたかったものだ。

 

 

明日は百貨店にでもいって、洒落た靴と帽子、それに春用のジャケットでも買うか。

ついでに妻の分も。

 

 

春は近いからな。